オンライン採用の現状
最近注目されているオンライン採用ですが、手法自体は新しいものではなく、中途採用を中心に
一部企業で数年前から導入されていました。遠方に住んでいる方や仕事の都合でまとまった時間を作るのが難しい方への
対応として、オンライン上で面接を実施するといったケースです。
このように部分的に実施されていたオンライン採用ですが、
株式会社ZENKIGENと株式会社シード・プランニングが合同で実施した調査(※1)によると、
2020年の新卒採用においては「オンライン採用を実施している」という回答した企業が全体の57.6%にも上りました。
さらに株式会社スタジアムの調査(※2)では、88%もの企業が「対面/Webを併用する」と回答しており、オンライン採用の活用が進んでいる様子がうかがわれます。
※1:株式会社ZENKIGENが2020年9月を調査期間として行った「採用活動におけるオンライン化の実施状況についてアンケート調査」より引用
※2:株式会社スタジアムが2021年9月16日~9月30日を調査期間として行った「オンライン採用に関する実態調査」および「Web面接利用状況調査」より引用
オンライン採用利用の背景
多くの企業がオンライン採用の導入に踏み切った背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大がありました。
2020年の春に初めて発令された「新型コロナウイルス感染拡大の防止を目的とした緊急事態宣言」により、
国から不要不急の外出を自粛するよう求められました。ちょうど新卒採用の説明会や面接シーズンと重なったこともあり、
採用活動を継続するため、企業の多くがオンライン採用に踏み切りました。
緊急事態宣言が解除されても感染症対策は必須の状況が続いており、オンライン採用が広く活用され続けています。
オンライン採用を導入した企業の満足度
「オンライン採用」と言っても説明会や一次面接、最終面接などどのフェーズで活用するのかは
企業によって異なりますが、ここではオンライン面接を実施している企業の満足度に触れておきましょう。
画面越しの対応に抵抗感のある担当者もいらっしゃるかもしれませんが、エン・ジャパン株式会社の調査(※3)によると、
オンライン面接実施企業の70%は「満足」という結果でした。
滿足している具体的な理由としては「遠方に住む応募者に対応できる」(85%)、「新型コロナウイルス感染防止に繋がる」(85%)、「応募者対応が迅速に行なうことができる」(54%)などが挙げられ、オンラインならではのメリットを実感した企業が多くあったようです。
※3:エン・ジャパン株式会社が2020年7月8⽇〜8月4⽇を調査期間として行った「「オンライン面接」実態調査」より引用
オンライン採用のメリット
感染症へのリスクを軽減できる
新型コロナウイルス感染症は、飛沫(ひまつ)という感染経路が確認されています。
また、人が密集した空間に滞在しないことは予防策として有効とされており、感染症拡大防止の観点でもオンライン採用はメリットがあると言えます。
コストと時間を節約できる
従来のように対面(オフライン)で会社説明会や面接を実施する場合、会場選定から設営、備品の手配、
社員の移動・宿泊手配など、準備すべきことが非常に多くあり金銭的コストだけでなく労力もかかってしまいます。
オンラインで実施する場合は、会場のセッティングが不要なだけでなく、担当者・応募者ともに移動時間を
予定に含める必要がなくなるため時間の節約になり、スケジュール調整がスムーズにいく可能性が高くなります。
母集団を形成しやすくなる
オンラインとオフライン(対面)の最大の違いは、時間や場所といった物理的制約の有無にあると言えるでしょう。
対面で説明会や面接を実施する場合、どうしても遠方に住む求職者にとっては応募のハードルが高く、
また、応募したとしても日程調整が上手く進まないケースは多くあります。
オンラインの場合、インターネット環境さえあればどこからでも参加が可能なため、全国各地の優秀な人材と接点を持つチャンスが広がることにつながるでしょう。
面接の質の向上が期待できる
オンライン採用では、動画によって面接を振り返ることができるため、採用担当チーム内での情報共有にも便利です。
適切な面接評価に役立つだけでなく、他の採用担当メンバーから客観的なアドバイスを受けることで面接官のスキルアップも期待できます。
オンライン採用のデメリット
ネットワークや機器トラブルが起こる可能性がある
オンライン採用では、ネットワークや機器トラブルが突発的に発生する可能性があります。
トラブルが発生した際には、予定していた時間どおりに面接や説明会を進められないといった事態や、さらには中止せざるを得ないケースも想定されます。
ミスコミュニケーションのリスクがある
オンライン上のコミュニケーションでは、対面と比べた場合にどうしても「雰囲気」が伝わりづらいといった問題が起こりがちです。
それだけでなく、通信機器を介することによる会話のタイミングの微妙なズレなどから、
「聞き返す」ことへの抵抗感が強まり思い込みや勘違いが起こりやすいといったリスクがあります。
企業側も応募者側も、いつも以上に分かりやすく明確な表現を心がける必要があります。
選考・面接プロセスの見直しが必要になりやすい
ミスコミュニケーションのリスクがある点と関連して、「情報量の少なさ」がオンラインのデメリットとして挙げられます。
例えば、応募者に来社してもらい説明会や面接を実施する場合には、実際にオフィスに足を踏み入れることで
社内の雰囲気を体感し、具体的なイメージを膨らますことが可能です。採用担当者以外の社員の様子を知る機会も自然と発生するでしょう。
ところがオンラインの場合、これらは意図的にプロセスを設計しなければ実現が難しい場合が多いです。
また、企業側の情報提供が難しいだけでなく、応募者の人物像を理解する難度も対面と比べて高くなりがちです。
そのためオンライン採用ならではの採用プロセスの設計が求められます。
オンライン採用の流れ
オンライン採用を実施するにあたって、次の流れを押さえましょう。
オンライン化する要素を決定する
オンライン採用を導入する際、採用活動のどの要素をオンライン化するのかをまず整理しましょう。
インターンシップの募集や会社説明会、一次面接、二次~最終前までの面接、最終面接、選考途中の面談、
内定者フォローなど様々な場面があります。
オンライン採用のメリット・デメリットを考慮した上で、何をオンラインに切り出すかを検討しましょう。
ツールの準備
採用活動のどの要素をオンライン化するか決定したら、次はそれぞれのフェーズに合ったツールを選定します。
一方向的な説明動画を録画する、LIVE配信で双方向コミュニケーションを取りながら説明会を開く、
応募者をグループに分けてグループワークを行う、応募者に事前に自己PR動画を提出してもらうなど、
活用場面毎に必要な機能も異なります。ニーズに合ったツールを選びましょう。
オンライン採用の最適化
オンライン採用のデメリットでも述べた通り、オンライン上のコミュニケーションではどうしても情報が少なくなりがちです。
既存の採用プロセスを適宜見直しながら、各ツールを活用してより良い採用プロセスを構築していきましょう。
オンライン採用のポイント
オンライン採用のための環境を整える
オンライン採用を円滑に行うためには、安定した通信環境の整備はもちろん、音声環境の整備、
各ツールの扱いに慣れておくことなど、事前に確認しておくべきポイントがあります。
特に通信環境については、説明会や面接の時間になってから「つながらない」「途中で切れる」といったトラブルが
頻繁に起こることのないよう、事前にしっかりチェックしておきましょう。
また、オンライン上のコミュニケーションでは、「音声」が情報源として非常に重要です。音声が反響して聞き取りづらくないかなど配慮しましょう。
各ツールについても、カメラ・音声の設定や資料共有の仕方など、本番に落ち着いて対応できるよう実践練習をしておきましょう。
また、説明会や面接の途中で通信トラブル、機器トラブルが起きた際の対応を予め決めておくことも大切です。
会社の雰囲気を伝える工夫をする
オンライン採用では、対面で行ってきた従来の採用方法のままでは、十分に情報を伝えることが難しい点を意識しておきましょう。
対面で説明会や面接を実施する場合は、応募者は実際に社内の雰囲気を感じ、働くイメージを膨らませたり、
「自分と合うか」を判断したりすることが可能でしたが、オンライン開催の場合、どうしても雰囲気は伝わりづらくなります。
社内の様子を動画で発信したり、社員との座談会企画を実施したりするなど、リアルな「手触り感」のある情報発信を意識しましょう。
応募書類をしっかり読み込む
オンライン面接では、身振り手振りや表情などいわゆる「非言語情報」をつかむことが難しく、対面での面接に比べ、
会話や質疑応答といった「言語情報」での判断が必要とされます。そのため、対面での面接以上に、
事前にしっかりと応募書類を読み込み、応募者を深く理解するための質問を準備しておくことが大切です。
オフライン(対面)とのハイブリッドな施策を考える
オンライン採用を成功させるためには、オンラインとオフライン(対面)の特徴を踏まえて、それぞれを柔軟に使い分けることがポイントです。
オンライン採用の「導入の流れ」でも述べたとおり、採用活動には様々な要素があります。
各要素におけるターゲットや目的を明確にして、それらに合った方法やツールを選択することが重要なのです。
時間や場所の制約を受けない点はオンラインの大きなメリットですが、「母集団形成」や「志望度醸成」といった点では不十分なケースも多いでしょう。
例えば「母集団形成」については、遠方に住む応募者にも説明会へ参加してもらいやすいといったメリットがある一方で、
多くの企業がオンライン化に取り組む中で自社の情報が埋もれてしまう懸念点もあります。
「オンライン採用」に囚われることなく、従来のオフライン施策と柔軟に組み合わせて、より良い採用を考えていきましょう。
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