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大学訪問で新卒採用を成功させるために、企業が知っておくべきこと
新卒採用では、就活情報サイトや合同企業説明会での募集以外に、企業の採用担当者が大学に訪問して学生をリクルーティングする方法があります。大学を訪問することが新卒採用において有効な手段だとわかっていても、どのタイミングでどういったアプローチをすればいいのかわからないという採用担当者もいるのではないでしょうか。
ここでは、企業が大学を訪問する際に知っておくべきことや大学訪問のメリットのほか、注意点をご紹介します。
大学訪問はいくつかのアプローチ経路がある
通常、大学訪問といえばキャリアセンター(就職課)へのアプローチが一般的です。
しかし、自社のターゲットやOB/OGなど人的資源に応じて、打つべき施策は変わるかもしれません。
大きく分けると、以下3つのアプローチ経路があります。
①キャリアセンター(就職課)
学生の就職やキャリア支援を行っている大学の組織です。
こちらに、企業受付担当が必ずいらっしゃるはずですので、担当の方に連絡をしてアプローチするとよいでしょう。
②研究室
自社のOB/OGを輩出している出身の研究室にアプローチする方法です。
OB/OGから教授に連絡を取ってもらい、OB/OGに訪問しもらうか、もしくは人事担当が一緒にご挨拶に行くことも可能です。
③就職担当教授
学部全体の就職やキャリアをマネジメントする就職担当教授がどの大学の学部にも基本的にはいらっしゃいます。就職担当教授とつながりができると、推薦や求人票の受付など、対応していただけます。
OB/OGの伝手を活かしたり、大学のHPに記載がある場合は、直接のアプローチも可能です。
企業が大学訪問を行う理由とは?
企業が大学訪問を行う理由は、採用したいターゲットがいる大学とのコネクションを形成したいからです。就活情報サイトでの採用活動では、大学生がみずから応募してくるのを待つことになります。そのため、自社が求める人材が応募してくるとは限りませんし、いつ応募が来るのかもわかりません。
大学とのコネクションが形成できれば、自社が欲しい人材に直接アピールすることができ、理想的な母集団の形成が可能になるのです。関係性を築くことができれば、次年度も安定した採用活動ができるための一つのポイントとなります。それくらい、企業が大学訪問をして、コネクションを作ることには意味があります。
新卒採用で大学訪問を行うメリット
大学訪問は、安定的な採用活動のひとつになる以外にも、多くのメリットがあります。続いては、具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
1 大学や教授が採用広報に協力してくれる
関係性が築けている企業は、大学が行う合同企業説明会や業界研究セミナーなどの大学主催イベントに参加できるほか、大学内でインターンシップ開催などの自社施策の掲示や、採用パンフレットの設置などをしてもらえることがあります。さらに、大学のキャリアアドバイザーから、就活相談に来た学生の志向性に合わせて、おすすめの企業として求人を案内してもらえることもあるのです。キャリアアドバイザーの方に自社で働くメリットをしっかりと理解していただければ、OB/OGが0名でも紹介をしてもらえることも実績としてあるようです。
また、研究室の教授から直接学生を紹介してもらえたり、研究室内で企業説明会を開かせてくれたりすることもあります。
2 学生からアプローチが来るケースがある
訪問する大学のOBやOGの採用をしている場合は、その点をアピールすることをおすすめします。キャリアセンターにはOBやOGリストがあることが多いです。学生にとって将来の自分が働いている姿がイメージしやすくなるため、学生から企業にOBやOG訪問の依頼をしたいがために、キャリアセンター経由でアプローチが来るケースもあるでしょう。
3 学内セミナーへ参加できる可能性がある
毎年キャリアセンター主催で開催している、学内就職セミナー(業界研究セミナー)には、対象の大学の就活生がたくさん参加します。一方で参加企業数は制限があるため、参加したい企業が全社参加できるわけではありません。特に人気校になればなるほど、倍率は高くなります。
また例年出展されている企業は、基本的にはまず優先的に案内されることが多いです。
では、新規の企業が参加することは難しいのでしょうか?そんなことはありません。
キャリアセンターの方たちは、自身の大学の学生に、できる限り優良と思える企業に入ってほしいと思っています。だからこそ、新規の企業訪問を受け入れ、より学生にマッチした企業がないか話を聞く場を設けているのです。
しっかりアピールできれば、キャリアセンターの方たちへ印象を残すことができ、ふとしたタイミングで学内セミナーに参加できることがあります。
4 就活情報サイトやイベント出展よりも採用コストを抑えられる
大学訪問での採用コストは、採用担当者の人件費を除けば、交通費ぐらいに抑えることが可能です。就活情報サイトの掲載料や合同企業説明会への出展料に比べれば、大幅に採用コストが下げられます。
ただし、採用担当者が大学訪問する際の時間や大学側の担当者と密に連絡をとっていくという点では、採用担当者への負担は大きくなります。
5 地方学生にもアプローチしやすい
自社からアプローチするため、地元の学生を採用したい場合などに大学訪問は最適です。学生は、就職支援課やキャリアセンターを利用することが多いので、名前が通っていない企業でも認知されやすくなるでしょう。
6 就活ルールが廃止されても自社独自のスケジュールで対応できる
一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の会員企業が守るべき就活ルールは、2021年卒の新卒採用から廃止されることになりました。そのため、これまでは選考解禁日や広報解禁日に合わせて学生が動いていましたが、今後は通年採用に切り替えてくる企業は多少なりとも増えてきます。
通年採用であれば、早くから採用に動き出す企業もいるでしょう。その場合、大学訪問で信頼関係が築けていれば、他社よりも早く自社をアピールできるチャンスがあります。就活ルールが廃止になっても、自社独自のスケジュールで対応できるのは、大きな強みとなります。
訪問する大学の選定方法
闇雲に大学を訪問しても、最適な人材を採用できるわけではありません。続いては、大学訪問を成功させるために企業の採用担当者が知っておくべき大学の選定方法をご紹介します。
1 採用する学生のペルソナを作っておく
自社にマッチする大学を選ぶときは、採用したい学生のペルソナを作ることをおすすめします。ペルソナとは、マーケティング業界で使われる用語で、「典型的なユーザー像」のことです。ペルソナを作る際には、ユーザー像を具体的にイメージして特徴を絞り込みます。
例えば、新卒で採用したい大学生のペルソナであれば、下記のような内容に絞り込んでいくといいでしょう。
文系や理系というだけでなく、「機械工学」や「電子工学」といった学部学科まで絞り込みます。
電子工学の中でも、「半導体」か「誘電体」なのかといった専攻や、得意分野などを決めましょう。
部活動やサークル活動でリーダー的な立場なのか、陰で支える参謀タイプなのかなど、どのような役割を果たす人物像かを定めます。
また、アルバイト経験については、飲食業なのか販売業なのかといった業種や、どのような仕事内容を選ぶ人なのかを設定します。
自社の職種に合う性格、価値観、経験をリストアップしていきます。例えば、「ねばり強い性格である」「会社の利益よりも人命を優先する価値観を持っている」「高校時代に部活の大会で決勝まで出場した経験」などを挙げていきましょう。
2 ペルソナからターゲットとする大学を決める
学生のペルソナを決めたら、「学部学科」「専攻分野」「得意分野」の中で、最適な学生のいる大学を決めます。その際、ターゲットにしたい大学のOBやOGが自社にいる、職場の近くに大学があるといった、なんらかのアドバンテージがある大学を選ぶ方法もあります。特に、OBやOGがいる場合は、大学訪問に同行させることで、大学側との共通点となるため、信頼関係を築く上では有効です。
大学訪問は時間がかかりますので、まずは自社にマッチした数校に絞ってアタックすることをおすすめします。大学訪問を何度か経て、経験を積んできたら、少しずつ訪問する大学の数を増やしていくといいでしょう。
大学訪問を行う流れ
大学訪問といっても、希望すれば簡単に実現するわけではありません。続いては、大学訪問を行う際の流れや、アポイントの取り方を詳しくご紹介します。
1 訪問したい大学のアポイントを取る
訪問したい大学が決まったら、大学の就職支援課やキャリアセンターといった就職専門の窓口、学部ごとの担当教授、研究室の窓口などにアポイントを取りましょう。大学のウェブサイトに、求人の申込み案内やお問い合わせ先が掲載されていますので、所定の方法で連絡してください。
ここでは、メールでアポイントを取る際の例文をご紹介します。なお、アポイントを取る大学のOBやOGが自社にいる場合は、活躍していることや、OB/OG数を記載し、採用実績をアピールすることもおすすめです。
<アポイントのメール例文>--------------------------------件名:キャリアセンターご訪問のお願い|株式会社◯◯採用担当 本文:◯◯大学 キャリアセンターご担当者様 (担当者名がわかる場合は名前を記載)突然のご連絡、失礼いたします。私、株式会社◯◯で採用担当をしている鈴木と申します。この度は、貴学の学生様に弊社求人のご案内をさせていただきたく、ご連絡差し上げました。よろしければ、キャリアセンターのご担当者様に、一度ご挨拶に伺わせていただけないでしょうか。弊社では、貴学出身の社員が全○○名おり、今年も●名の社員が入社し、入社間もなくから活躍しており、今年もぜひ貴学の学生様から採用を検討したいと考えております。つきましては、弊社のご案内や就職活動にまつわる情報交換をさせていただけますと幸いです。差し支えなければ、下記日程の間で、20分程度お時間をいただきたく存じますが、ご都合はいかがでしょうか。【希望日】◯月◯日~◯月◯日上記以外に、◯◯様のご希望の日程がございましたら、調整させていただくことも可能です。お忙しい中、恐れ入りますが、◯月◯日までにご返信いただけますと大変助かります。ご確認の程、よろしくお願い申し上げます。 株式会社◯◯採用担当 鈴木 --------------------------------
【合計8パターンご用意】
2 大学を訪問する
大学には定期的に訪問して、担当者と信頼関係を築くことが大切です。ですが、他社の訪問もあり、担当者は忙しいことが予想されますので、目的を明確にした上で訪問することをおすすめします。また、事前にメールで伝えらえる内容は端的にまとめて伝えてから訪問された方が当日話せる時間が増えるため有効です。
なお、大学訪問の際に必要な物は、会社案内や求人票、採用パンフレットなど自社のPRや伝えたいことを伝えられる内容のツールです。手土産などは原則、必要ありません。
OBOGがいる場合は、一緒に訪問することでより具体的に信頼を得ることができますし、社長などCXOクラスの社員を連れていくこと本気度を示して印象に残すこともできます。
前述の通り、キャリアセンターの担当者の方は多くの企業訪問を対応しており多忙です。
自社の魅力を担当者に理解してもらって印象に残す必要があります。そのための最善策をとるようにしましょう。
大学訪問を行う際の注意点
大学訪問を行う際には、注意すべき点がいくつかあります。ここでは、主に注意すべきポイントをご紹介します。
1 事前準備はしっかりと
大学訪問は営業活動と変わりません。何のための訪問なのか(学内セミナー参加希望/求人票設置希望など)しっかりと要望を明示しましょう。自社についての説明の場なので、パンフレット・求人票は忘れずに持っていきましょう。
また、特にキャリアセンターの方からよく聞くお話として、大学事情や、人数などの公表情報を調べてこない採用担当の方も多いようです。訪問先の状況を予め調べることで、先方に刺さるお話もしやすくなるでしょう。
事前準備はしっかりと行い、訪問するようにしましょう。
2 連絡を滞らせたり、急な対応を求めたりしない
大学訪問では、就職支援課やキャリアセンターなどの窓口の担当者とコンタクトをとり、何度も訪問することで信頼関係を構築していきます。そのため、連絡を滞らせたり、急な対応を求めたりといったような、信頼関係を壊すような行為は避けましょう。また、毎回違う採用担当者が連絡することも、大学側にとっては負担になりますので、専任の採用担当者をつけることをおすすめします。
3 大学側の視点に立って、メリットを考えて関係性を作る
大学訪問は、自社にとって多くのメリットがあります。適切な信頼関係を築くには、自社にとってのメリットだけでなく、大学側の視点に立って考えることも大切です。
例えば、大学によっては少子化や大学数増加の影響を受けて、定員割れをしているという現実があります。
学生数が売上に直結するので、学生を集客していく必要性が高いです。
就職先や就職率などは、大学にとって広報材料のひとつとなりますので、そういった点でも企業は協力できることがあります。自社のアピールだけではなく、大学側のメリットも考えて、相互理解をしながら信頼関係を築きましょう。
また国立大学も国からの助成金は減っており、大学独自で予算を確保していきたいニーズや大学のブランディングが今まで以上に必要になってきております。
よって企業からの協賛や産学連携の流れは今まで以上に増えてきており、以下のようなものがあります。
- 寄付金提供
- 共同研究
- ジョイントベンチャー設立
- 自己分析講座の提供
- 寄付講座
データ分析をサービスとしている企業が、新興のデータサイエンス学部に講座を提供するなど、民間企業ならではの強みを大学に提供することで、大学との関係を強くして、結果として採用につながる企業もあるようです。
大学の事業をしっかり理解したうえで、自社の強みを提供していくことで、より強固な関係性を築くことができると言えます。
4 お礼の挨拶は採用活動後も行う
大学へのお礼の挨拶は、初回の訪問時に限ったことだけではありません。採用活動が終わった後は、採用の有無にかかわらず大学に報告して、感謝の気持ちを伝えましょう。
大学との信頼関係は、一朝一夕には作れません。長期戦の構えで、定期的にコミュニケーションをとっていくことをおすすめします。
5 通年採用による採用スケジュールに気をつける
一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の会員企業が守るべき就活ルールは、2021年卒の新卒採用から廃止され、政府主導での策定となりました。政府は、2022年卒までの学生については、経団連のルールを引き継ぐことを公表しております。しかし、こうした定期採用だけでは優秀な人材を確保することが難しいと考え、近年では通年採用に切り替える企業が多くなっています。通年採用であれば、早くから採用に動き出す企業もいるでしょう。
一方で、大学機関(特に国公立大)は、上記に定められた就活ルールを重視するため、求人の公開やキャリアアドバイザーによる企業紹介などは、時期に準じて行われることが多いです。
ですから、通年採用に切り替えたからといって年中、大学が求人紹介をしてくれるわけではないことに留意する必要があります。なお、外資やベンチャーなど一部企業などは元来採用時期が早いため、特別に早期から公開することがあります。
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大学訪問は、新卒採用の手法として、多くのメリットがあります。ですが、訪問する前には、ターゲットとなる大学の選定やスケジュールなどを調整して、大学との関係性を築いていくことが大切です。
一方で、大学独自の事情などはなかなか採用担当の方から見えにくい一面もあるかもしれません。
新卒採用支援事業を行っているサイシードでは、長年の信頼から就職セミナーの運営受託(東京大学・埼玉大学・東北大学など)や学内講座などを請け負っており、大学事情を熟知しております。
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